大事な血糖管理
糖尿病は、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態が特徴の代謝疾患群です。
日本で、糖尿病が強く疑われる人(糖尿病有病者)、および糖尿病の可能性を否定できない人(糖尿病予備群)はそれぞれ約1千万人と推計されています。
厚生労働省の「令和4年(2022年)国民健康・栄養調査結果」を見ると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、男性が18.1%で女性が9.1%。
年齢とともに高くなり、60~69歳では男性が20.0%、女性が9.8%。70歳以上だと、それぞれ27.0%、15.8%と割合が一気に高くなります。
糖尿病患者は高血糖の状態が長時間続くと、重い合併症を引き起こします。
糖尿病の3大合併症は、網膜症、腎症、神経障害です。
それらに加え、認知症やガンなども糖尿病との関連も指摘されています。
糖尿病患者は、高血糖も問題ですが、逆に血糖値が下がりすぎてもいけません。低血糖を引き起こし、命にかかわる場合があるからです。
ですから、糖尿病患者は常に血糖値をモニタリングし管理する必要があります。
しかし、糖尿病有病者および治療を受けている人のうち、良好な血糖コントロールができているのは、全体の5割程しかいません。これが大きな問題なのです。
従来の血糖自己測定の欠点
糖尿病や高血糖の患者は、1日に2~3回指に針を刺して採血し、血糖の自己測定(SMBG)をしています。
病院でも定期的に HbA1C(グリコヘモグロビン)の値を測定しています。
HbA1C は、赤血球のタンパク質であるヘモグロビンに糖が結合した物の一種で、血糖値が高いほど量が多くなります。過去3ヵ月の血糖値の平均を知ることができます。
しかし、これらの測定では、リアルタイムの血糖の変動(血糖トレンド)を知ることができません。
だから、糖尿病の治療薬を服用し続けてもなかなか血糖値が下がらない、食事に気を配り運動もしているのにHbA1C が下がらない、と悩む患者が多いのです。
そんな悩みを抱えている患者には、24時間、血糖を測定することをお勧めします。血糖トレンドを知ることで、血糖値がなかなか改善しない原因を見つけることができます。
スマホと連携
最近は、体に簡単に装着でき、日常生活をしながら血糖を24時間、連続して測定できる医療機器が開発され、複数のメーカーから発売されています。
例えば、アボットジャパンが2021年に発売した24時間血糖測定器は、上腕に貼ったセンサーを、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンでスキャンすることで、測定時の血糖値や過去8時間の血糖トレンドを即座に知ることができます。
血糖は約1秒でスキャンすることができます。スキャンしたデータをグラフ化することもできます。
従来の SMBG は、複数の器材と採血が必要なので測定に数分かかります。指先穿刺も伴います。
また、2020 年にアボットが実施した調査によると、インスリン治療を行う糖尿病患者の 8割以上が外出先での SMBGを負担に感じており、約8割が測定時に人目を気にしていることが明らかになりました。
最新の測定器は、こうした従来の測定器の欠点をほぼ解消し、日常生活で使う上で非常に便利になっています。
食事の改善につながる
アボットの測定器は一回の装着で14日間使用可能。1時間に1回、測定値がスマホで確認できます。
上腕に貼るセンサーは、インスリン療法を施行中の患者には、保険適用の対象となります。
24時間、血糖値を測定することはさまざまなメリットがあります。
例えば、食事後の血糖値の変化が簡単にわかるので、血糖値が上がりやすい食事と上がりにくい食事を、自分で確かめることができ、食生活の改善につなげることができます。
食事では、肉や魚などのタンパク質、脂質、豆類、食物繊維から食べると、血糖値の上昇にブレーキをかけるホルモンが分泌されて、食後の血糖値の上がり方がゆるやかになり、肥満ホルモンとも言われるインスリンの分泌も抑えられて太りにくくなると言われていますが、血糖トレンドを見ると、実際その通りになっていました。
血糖トレンド測定器を使用した患者の中には、血糖値が下がる食材もあることに気づいた人もいます。
糖質の量がわかりにくい加工食品も血糖トレンド測定器でチェックすると、意外と糖質が多かったりすることがわかります。
また、1日1回の有酸素運動でその日1日の血糖値の上がり方が緩やかになることも血糖トレンドで確認されています。
SMBGでは、睡眠中の血糖値を知ることはできません。しかし、血糖トレンドを見れば、睡眠中の低血糖の有無がわかるので、寝る前に少量の糖質を摂取するなどの対策をとることもできます。
血糖トレンド測定器に記録されたデータは医師と共有することもできるので、治療の改善に役立つことが期待できます。まだの方は一度主治医に相談してみてはいかがでしょうか。